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親猫の愛

この記事の所要時間: 142

昔友人のRから昔聞いた話。
Rの実家は猫好きな一家で、野良猫に餌をあげているうちに家中猫だらけになってしまったそうだ。
(高校の頃遊びに行ったが、ほんとにそうだった。)
住み着いた猫が仔をつくり、その仔もまた仔をつくる。一時は家庭崩壊しかけたほど猫が増えたそうだ。

そのうちの一匹の猫の話。

 

その猫も他の猫同様、野良時代に餌をもらい、それが何度か続くうちにRの家に住み着いた。
そして、その猫も仔を宿し、五匹の子猫を生んだ。
しかし母猫は病気だった。
出産後、餌は食べても吐いてしまうか、もしくはひどい下痢だった。
だが、子供はまだ小さい。母猫はじっと耐えるように五匹の子猫達を守っていた。
あまりにひどそうなので、見かねたRの母親が病院に連れていこうと近寄るが、
母猫は子供を取られると思っているのか、決して触らせようとしない。
怒り狂って引っ掻いてくるのだ。

次の日、母猫はついに動けなくなっていた。出産の疲労と病気による衰弱のためであろう。
母猫の周りは、自らの汚物でいっぱいだった。
しかし、母猫はいとおしそうに五匹の仔をまんべんなくなめていた。
こいつは今日死ぬな。。
衰弱しきった母猫をみてRはそう思ったそうだ。

そしてその夜、Rの母親が2階の自室で寝ていると、もぞもぞと布団の中で何かが動く。
それは子猫だった。
あれ?と思い電気をつけてみると、他の四匹の子猫たちも自分の布団のまわりにいる。
子猫たちは寒いのか、か細い声で鳴きながら布団に入ろうとしている。

そして、少し離れたところに、あの病気の母猫が静かに横たわっていた。
もう息はしていなかった。

決して子供達に近寄らせようとしなかった母猫は、
最後の力を振り絞って一匹一匹わが仔をここまで運んできたのだろう。
死ぬ姿を人に見せないと言われるプライドの高い猫が、
寝室の真ん中で死ぬことを選んだのだ。

子供達を託すために。

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