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「水くさい」カレーの日。

この記事の所要時間: 148

ガキの頃の夏休み、父方の祖父母の家へ行くと、絶対に出るのがカレーだった。

ばぁちゃんが「水くさくないか?」とか言ってきた。
なんのことかと思ったがすぐに「水っぽい」ということだと気が付いた(兵庫弁らしい)。
確かにすごい「水くさい」カレーだった。
普通のカレーを倍くらいに水増ししたような感じと思ってもらえればいいだろうか。
おまけにご飯も水くさい。

正直まずかったのだが、いつも「いえ…おいしいです」と答えていた。
ここらへんは、こずかいを期待する孫としての、当然の発言だろう。
ガキが喜ぶもの=カレーという考えだったのか、そこにいる間は毎晩カレーカレーカレー。
もう勘弁してくれよ!と思った。俺以外の兄弟もそう思っていただろう。
親父も苦笑して「外食にしようか」と言って、みんなでカレーから逃げ出した。
親父が言うには、前からばぁちゃんのカレーは「水くさい」ものなんだそうだ。
金のことでは苦労したひとだったから必然的にそうなったのかもしれない、と。文字通り水増ししたカレー。
そういや、こずかいもあんまりくれないよなぁ、ケチだよなぁと子供心に思ったものだ。

かなり前、ばぁちゃんは天寿を全うした。じいちゃんは老人ホームへ行った。
親父の実家には誰もいなくなり、そこへ遊びに行くこともなくなった。
俺といえば社会人になり、もうばぁちゃんのことなんて、ほとんど忘れていた。
あるとき、たまたまお袋がいなくて俺が夕飯をつくることになった。
とくに何も考えずにカレーを作った。適当に作ったもんだから、それが大失敗。とってもうすいカレーになってしまった。
仕事から戻ってきた親父にそれを出して、「いや~『水くさい』カレーになっちゃった、ははは」と笑いながら言ったら、親父は突然ボロボロと泣いて、カレーを食いはじめた。
完全に忘れていたのだが、その日はばぁちゃんの命日だった。俺だけじゃなくて、家族みんなが忘れていた。
すごく気まずい気持ちで、みんな黙ってカレーを食った。

それ以降、ウチではばぁちゃんの命日はカレーの日となった。「水くさい」カレーの日。

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