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ささやかな誕生日パーティー

この記事の所要時間: 143

私が23歳の頃、就職1年目の冬、私の誕生日の日のこと。
職場の人たちが「誕生パーティーをしてあげる!」というので、
家に、「今日は遅くなるよ。ゴハンいらないから。」と電話を入れたら、
父が「今日はみなさんに断って、早く帰ってきなさい。」と言う。

「だってもう会場とってもらったみたいだし、悪いから行く。」と私が言うと、
いつもは温厚な父が、「とにかく今日は帰ってきなさい、誕生日の用意もしてあるから。」とねばる。

「???」と思いながら、職場のみんなに詫びを入れて帰宅した。

家にはその春から肋膜炎で療養中の母と、電話に出た父。
食卓にはスーパーで売ってるような鶏肉のもも肉のローストしたみたいなやつとショートケーキ3つ。
「なんでわざわざ帰らせたの!私だってみんなの手前、申し訳なかったよ!」と言ってしまった。
父は何か言ったと思うが、覚えていない。
母が、「ごめんね。明日でもよかったね。」と涙ぐんだ。
私は言い過ぎたな、と思った。

でもあやまれず、もくもくと冷えた鶏肉とケーキを食べて部屋に戻った。
その2ヶ月後、母の容態が急変し入院した。

仕事帰りに病院に行くと、父がいた。
廊下の隅で、
「実はお母さんは春からガンの末期だとわかっていたんだよ。隠していてごめんね。」
とつぶやいた。

呆然として家に帰ったあと、母の部屋の引き出しの日記を読んだ。

あの誕生日の日のページに
「○子に迷惑をかけてしまった。」とあった。

ワーッと声を出して泣いた。
何時間も「ごめんね。」といいながら泣いた。

夜が明ける頃には涙が出なくなった。
すごい耳鳴りがした。

4,5日して母は死んだ。
仕事をやめて、看病していた父も数年前に死んだ。
父が準備したささやかな誕生日パーティーをどうして感謝できなかったのか。

母にとっては最後だったのに、、、。

父も数年後に死んだ。

こんな情けない自分でも、がんばって生きている。

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