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永遠に世界を救えなかったであろうレベル50の勇者を見てファミコンを憎むようになった

この記事の所要時間: 138

小学校のとき、先生に知能に障害がある子のうちに遊びに行かされた。

彼は脇目もふらずにドラクエ3をやっていて、正直、
「こいつでもドラクエとかわかるんだなあ」
と思った。

三十分ほど彼のプレイを見ていて、とても悲しい事に気が付いた。

彼がそのゲームでやっているのは、アリアハンの周りでスライムとカラスを倒す、ただそれだけだった。

パーティにただ一人の勇者のLvは50を越えていた。

彼は永遠、素手でスライムを殺し続けた。

とても楽しそうだった。

 

先に進めてやろうと思い、1コンに手を伸ばしたら凄い剣幕で怒鳴られた。

なんて怒鳴られたか聞き取れなかったけれど、とにかく怒鳴られた。

それを見て、彼の母親が
「ごめんなさいね、○○ちゃんはファミコン大好きのよ」
と僕に謝った。

彼はドラクエ以外のソフトは持っていなかった。

僕はそれ以来、ゲームをやらなくなった。

以前のようにゲームにのめり込めなくなってしまったのだ。コントローラーを握ると、やるせなくなった。

友達の家に行っても、みんながやるのを見ているだけだった。

その間、僕はゲームに興じる友達の背中だけを見るように努めた。

本当にむなしかった。

 

その内に、僕はファミコンを憎むようにさえなった。

今までの人生の中で、あんなに何かを憎んだことはない。

それは、真夜中に僕を目覚めさせた。

ゲームなんかこの世からなくなってくれと本当に願った。

僕はソフトを彼に全部あげて、本体は捨ててしまおうと思ったが、兄に怒られそれすらできなかった。

一人暮らしをしている今でもゲームは嫌いだし、もちろん家にも置いていない。

 

時々、彼と永遠に世界を救えなかったであろう彼の勇者の事を思い出すと、とても悲しくなる。

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